遺言書を書こうと思ったらまずやりたいこと
生前に行う相続対策として非常に有効な手段の一つである遺言書。
遺言書を書いておくことであなたの意思をご家族へ伝えることができますし、ご家族にとっても遺言書があったおかげで相続手続きの負担が軽くなったり、相続税が納めやすくなったりと、メリットが多くあります。
しかし、日本において遺言書を書くという行為は一般に浸透しているとは言い難く、もしかすると「資産家が税金宅策で書くもの」というイメージをお持ちの方も多いのかもしれません。
たしかに遺言書を用いた相続税対策というのはありますが、これは遺言書が持つ機能のほんの一部に過ぎません。
財産の多い少ないに関わらず、遺言書を書くことは多くの方にメリットがある相続対策です。
【 目 次 】
遺言書の最大の効果
遺言書が持つ大きな効果として、私は次の3つが重要なものだと考えています。
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あなたの“想い”をご家族へ伝えられること
→今後、いつまでも“想い”をきちんと伝えられる状況のままでいられるとは限りません。あなたの財産や気持ちを一度整理することだけでもある程度安心することができるのではないかと思います。また、整理したことでこれからやりたいこと、やるべきものが明確に見えてくることも多く、あなたが新たな目的をもって生活していくことにもつながります。
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ご家族があなたに感謝する場ができること
→例えば、遺言書がない状態で20歳の大学生である長男が1000万円を相続したとしましょう。もしかすると彼はラッキーだとばかりに浪費してしまうかもしれません。しかし、遺言書で「学費として1000万円を貯めました。有効に使ってください」といった内容を盛り込んだ場合はどうでしょうか?少なくともあなたがしっかり勉強してほしいと願っていること、そのためにお金を貯めておいてくれたのだということは伝わります。あなたへの感謝を感じてくれることと思いますし、その資金でもしかしたら資格の勉強でも始めるかもしれません。
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ご家族が明るい未来を歩むこと
→相続が発生すると、ご家族は悲しむ暇もないぐらいにさまざまな手続きを強いられます。財産の調査をしたり遺産分割協議をしたり相続税を納めたり...あなたが生前に道筋をつくっておけばご家族の負担が格段に軽くなります。そしてご家族には悲しむ余裕が生まれ、あなたに感謝し、いち早く前を向いて明るい未来を歩むことにつながります。
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こうして「あなたとご家族が同じ未来を見て、絆を深めながらこれからを生きる!」
これが遺言書の持つ最大の効果だと思っています。
ご家族に感謝される遺言書を書くために必要なこと
遺言書の効果を最大化し、あなたが充実した生活を送り、そしてご家族に感謝される遺言書を書くために必要なこととは何か?
大きく3つのポイントがあると考えています。
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- 財産の見える化・スリム化
- 遺産配分のバランスを考える
- あなたの“想い”を伝える
以上の3つのポイントについては、実は遺言書を書くために必須の作業ということではありません。
財産の状況やご家族との関係の中で、どうしても特定の財産のみを対象とするときや分割の割合に偏りが生じることはあるでしょうし、そういった遺言書が無効というわけでも、必ず相続人間の争いにつながるというわけでもありません。
リスクを把握したうえであなたの意思のもとに書かれた遺言書であれば、あなたの意思表示として最大限尊重されるべきだと思います。
しかし、単に事前準備が不足していたり、知識や配慮が不十分だったがゆえに“穴”がある遺言書を残してしまうと、ご家族の手間を増やすことになったり、最悪の場合はご家族の関係性を悪化させてしまう可能性もあります。
こういった最悪の状態になるのを避け、ご家族に感謝される遺言書を書くために大切な3つのポイントを一つずつお話ししていきたいと思います。
1.財産の見える化・スリム化
まずはあなたの財産を洗い出すことが非常に大切です。
その目的は大きく3つあります。
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今後の生活費を確保する
→もちろん、あなたの今後の生活費などは十分に確保しなければなりません。そもそも相続対策はあなたの今後の生活を切り詰めてまで行うものではありません。必要な財産と余剰財産とに分けることで、あなたが安心してこれからを過ごすことができるようになります。
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相続税が発生するかどうかを確認する
→相続税が発生しそうだと判断できる場合、相続税を支払えるだけの現金を準備しておく必要があります。この準備を怠るとせっかく遺言書を用いて不動産を希望どおりに相続させても、相続税を支払うためにその不動産を売却して現金化しなければならないといった可能性が残ります。
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ご家族の手間を格段に減らす
→以前に何かの理由で作り、今は使用していない銀行口座。ほったらかしの証券口座。クレジットカードや年会費のかかる会員証など。これらはご本人であるあなたが生前に解約などの手続きをすれば最低限の手間で済みます。しかし、あなた亡き後にご家族がこれらの残高証明書の発行や解約の手続きをするのはかなりの手間が生じます。まず、どこにどのような口座があるのかを調査しなければなりません。その後金融機関に連絡を取り、相続人であることを証明するために戸籍などを取得して提出しなければなりません。こうして時間と手間をかけた結果、その口座には数千円しか入っていなかったなどということになったら、もしあなただったらげんなりしてしまいませんか?
財産を洗い出し一覧にまとめておくこと、使用していないものは解約手続きをしておくことで、ご家族の手間は最小限のものになります。これだけでもご家族からはとても感謝されます。そして、この感謝こそがご家族があなたの“想い”を理解するための土壌となるのだと思います。
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2.遺産配分のバランスを考える
財産の洗い出しの次は、その財産を誰にどのように受け継いでもらうかを検討することになります。
このときに大切なのは、可能な限りご家族の間の「公平」に注意することです。
この「公平」とは、何でもかんでも半分ずつにするとかいうことではありませんが、少なくとも次の2点を配慮した分割方法にすべきだと思います。
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- 遺留分の存在
→特定の相続人は遺留分という権利を持っています。遺言書の内容がこの遺留分を侵害する場合、当該相続人は遺留分に相当する金銭をほかの相続人等に請求することができます。特に生前お世話になった恩返しなどの理由で相続人以外の者に対して財産を受け継がせる内容にする場合や、偏りの大きい配分比率にする場合には細心の注意が必要になります。 - 相続税の納税資金対策
→例えば不動産は全てAに、預貯金は全てBに受け継がせた場合に相続税が発生すると、Bはその預貯金から相続税を支払うことができますが、Aは自己資金から相続税を支払わなければならなくなります。この場合、Aから不満が出る可能性があります。
- 遺留分の存在
3.あなたの“想い”を伝える
ある程度「公平」な内容の遺言書があったとしても、お互いの思い込みや誤解を発端とする相続争いが起きる可能性もあります。
例えば「遺産目的で介護してたんじゃないか」とか「この遺言書は強制的に書かされたんじゃないか」とかのように思い込む方も中にはいらっしゃいます。
このような思い込みや誤解を最小限に抑えるためには、あなたの“想い”を伝えることが大切です。
各々の遺産をどう分けるかということに加え、その理由(=あなたの“想い”)を書くことにより誤解が生じる隙間は小さくなります。
また、遺言書には「付言事項」というものを記入することができます。
ここにご家族へのあなたの気持ちを記入するなどすれば、ご家族に納得してもらえる可能性は格段に高まります。
遺言書は確かに法律文書ではありますが、根本には人と人との感情的なつながりがあります。
その感情を的確に伝えることで争いに発展する可能性は格段に低くなるように感じています。
遺言書をご家族の未来を話し合うきっかけに...
ご自身の死を家族内で話し合うことってハードルがとても高いと感じませんか?
元気なうちにそんな話をしなくても...という雰囲気がありますよね。
しかし、見てきたとおり、元気なうちに遺言書を書くなどの準備をしておくと多くのメリットがあります。
いきなり相続の話をご家族に切り出すのは気が引けるでしょう。
しかし、きちんと財産を整理して遺言書を書いていた場合はどうでしょうか?
「財産はこれを見れば一目でわかるようにしてある」
「財産の相続先はこういった理由でこう指定したい」
などとあなた自身の口から直接伝えることができれば、ご家族の気持ちはとても前向きなものになると思えませんか?
もし遺言書の内容に不明点や納得がいかないことがあったとしても、その話し合いの場で解消することもできます。
遺言書をもとにご家族で話し合いの場を持つことで、あなたとご家族が絆を深め合い、お互いが明るい未来を歩んでいく...
私は遺言書の作成支援業務をとおして、一人でも多くの方がこのような未来を歩むためのお手伝いができたらと願っています。
もちろん、これらの全てをやりきるためには多くの労力と時間が必要になります。
まずはできることからでも構いません。少しずつ進められるのは余裕をもって対策をスタートさせたメリットです。
遺言書についてもっと知りたいことなどがございましたらどんな些細なことでも構いませんので、下記のご相談フォーマットまたはお電話にて是非一度お問い合わせください。
投稿者プロフィール
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池袋に事務所を構える司法書士。
不動産の相続登記や遺言の作成支援など、相続手続きに力を入れています。
相続は事前に準備をしておくことで救われることが多くあります。
一人でも多くの方が相続の事前準備の重要性を知り、ご家族の明るい未来を作っていけるような社会にすべく、有意義な情報発信をしていきたいと思います。
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