不動産を相続したときに早めに相続登記をするべき3つの理由
不動産を相続したときに初めて「登記」という言葉を耳にしたという方も多いかもしれません。
いろいろと大変な時期に得体の知れない“相続登記”なるものをしなければならないなどと聞かされ不安に感じている方も多いのではないかと思い、不動産を相続したときに早めに相続登記をするべき理由とメリットをまとめてみました。
【 目 次 】
こんなお悩み・疑問はございませんか?
- 家族が亡くなったとき、ただでさえやらなければならない手続きが多いのに不動産の名義変更までしなければならないの?
- 相続登記をしないとデメリットはあるの?
- 相続登記はなぜ義務化されたの?
- ウチは相続で揉めることはないだろうから、相続登記はしなくてもよいのでは?
- どうせすぐに売却する予定だから、わざわざ登記名義を相続人に移す必要はないのでは?
相続登記をするべき3つの理由とは?
1.不動産を処分できなくなるかも...
相続した不動産を売却する場合、その前提として必ず不動産の名義を相続人に変更しておかなければなりません。
しかし、例えば下記の状況になった場合、不動産を簡単に売却することはできなくなります。
●相続登記をしない間に相続人の一人が認知症などになり判断能力が低下した場合
●相続人の一人に借金などがあり、相続不動産に対して銀行などから差し押さえをされた場合
このようなときの名義変更はとても困難になります。
少なくとも一定の時間と手間はかかることになりますし、結果的に売却ができない事態になることもありえます。
2.お子さまに多大な労力を強いるかも...
相続財産を分ける話し合い(遺産分割協議)は必ず相続人全員で行う必要があります。
相続登記をしないままでいると、その後に相続人の一人が亡くなる可能性があります。
そうなると、不動産に対する権利がその亡くなった相続人の相続人へと引き継がれます。
たとえば相続人の配偶者や甥っ子、姪っ子です。
その方々にも連絡を取らなければならなく、連絡する手間が増えます。
甥っ子などの連絡先を知らない状況もありえますし、その方が未成年者であれば家庭裁判所に特別代理人選任の申立てをしなければなりません。
その場合でもすべての相続人で財産の引き継ぎ先を定めなければなりませんし、各相続人に印鑑証明書などの書類を取得してもらう必要もあります。
3.相続放棄できなくなるかも...
相続放棄とは、原則として相続があったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所へ申述することによって、相続財産を一切受け継がないとする制度で、被相続人に多額の借金があった場合などには有効な手続きです。
実は家族の知らないところで借金をしていたという事例もあります。
すぐに財産の調査をすることで、万が一のときも相続放棄の手続きを検討することができます。
また、3か月以内であっても被相続人の特定の財産を他人に売却するなどの“処分行為”をしてしまうと、相続放棄ができなくなってしまう可能性もあります。
財産の調査には時間がかかる場合もありますので、早めに動くことが大切です。
早めに相続登記を行うとここまで安心
1.相続を一段落させ、新たな生活をスタートすることができる!
財産を受け継ぐ者が確定するまでは、相続人が共同して相続財産を適切に管理しなければなりません。
財産を受け継ぐ者を定めることによって、責任の所在を明らかにすることができ、余分な手間から解放されます。
また、銀行口座を複数持っているなど、財産を把握するために大きな労力を必要とするケースもあります。
財産を把握し、分配先を決めることが相続手続きの一つの大きな山場となりますので、そこを越えることで新しい生活に意識をより向けられるようになってきます。
2.遺産トラブルを防げる!
親族間で争う相続、いわゆる“争続”を回避することができます。
相続のご相談を受けていると、中には話し合いを放置している間に相続人の一人が勝手に移り住んできたとか、勝手に売却の手続きを進めているといった話を聞くこともあります。
また、相続登記をしないうちに次の相続が起きてしまう可能性も高まります(数次相続といいます)。
そうなると対象となる相続人の範囲がグッと広くなり、連絡を取るべき人数が増え、ときにはほとんど会ったこともない親族にまで連絡を取らなければならないといった可能性も高くなります。
早期に話し合いをすることで、最小の範囲で、最小のお手間で手続きを進めることができるのです。
場合によっては財産を相続しないという選択(相続放棄・限定承認)もスムーズにできます。
3.不動産を有効活用できる!
もし不動産を売却する可能性がある場合、相続する者を定めることにより、売却手続きは新所有者のみの関与ででき、スムーズに進めることができます。
また、ほかの相続人の債権者から差し押さえをかけられるなどといった売却を阻害するような出来事も防げます。
売却のほかにも、新所有者はその不動産を担保に融資を受けることも可能になります。
4.相続登記が義務化されたことによる過料の制裁を免れる!
2024年4月1日より相続登記が義務化されることとなりました。
相続人は、相続があったことを知った日から3年の間に相続登記をしなければなりません。
これを怠ると10万円以下の科料が科されることになります。
相続登記をせずに放置され、時間が経つことで現在の真の所有者がわからなくなってしまった土地や建物が増加しており、近年の社会問題になっております。
誰も住んでおらず、所有者もわからないため売るに売れないといった建物は空き家となって放置され、荒れて立ち入りが困難になっていたり、朽ちて倒壊の危険があるものもあります。
こうして近隣住民とのトラブルになることもあれば、公共事業の用地取得に支障が出たり、災害被災地の復興の妨げになっていたりという事象も多く、不動産の有効活用の観点からも対応が急務という状態であったため、このたび、相続登記が義務化されることになりました。
登記手続きを適切にすることにより、過料を科されることもなくなり、ときには必要としている方に譲ることで現金化できる可能性もあるということになります。
それは、不動産を有効活用し、地域活性化の一役を担うことにもつながるのです。
5.相続税の申告懈怠を避けられる!
一定金額以上の財産を相続した場合、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に相続税の申告を行わなければなりません。
期限を超過した場合は延滞税が課される場合もありますが、早めに財産を調査することでその危険を防ぐことにつながります。
相続手続きのご相談は相続診断士としても活動する当事務所へ
相続診断士とは、相続によって親族間で争いが起こる“争続”をなくしたいという思いのもと、相続に関する広く多岐にわたる問題を理解し、一般の方への啓蒙活動を行うことで相続を円滑に進める『笑顔相続の道先案内人』として、相続相談の窓口としての社会的な役割を担う資格を持つ者のことです。
当事務所は相続診断士としても活動しており、多くの相続手続きに関わってきました。
相続手続きについてもっと知りたいことなどがございましたらどんな些細なことでも構いませんので、下記のご相談フォーマットまたはお電話にて是非一度お問い合わせください。
無料でお見積作成も可能です。
投稿者プロフィール
-
池袋に事務所を構える司法書士。
不動産の相続登記や遺言の作成支援など、相続手続きに力を入れています。
相続は事前に準備をしておくことで救われることが多くあります。
一人でも多くの方が相続の事前準備の重要性を知り、ご家族の明るい未来を作っていけるような社会にすべく、有意義な情報発信をしていきたいと思います。
最新の投稿
- 無料相談会2023年2月16日3/4埼玉県朝霞市「朝霞市民会館(ゆめぱれす)」にて相続の無料相談会開催!!
- 無料相談会2022年12月7日12/11 埼玉県新座市「新座市民会館」にて相続の無料相談会開催!!
- 配偶者居住権2022年11月30日【配偶者居住権】~配偶者(夫・妻)に自宅を遺せる新しい制度~
- 無料相談会2022年10月1日10/8 埼玉県ふじみ野市「旭ふれあいセンター」にて相続の無料相談会開催!!